ビデオリサーチ公式テックブログ

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業務や学習に役立つマイGPT作ってみた

こんにちは。ビデオリサーチの2年目社員フルヤです。

今回は、ChatGPTの「マイGPT」機能を活用して、業務や学習に役立つAIエージェントを自作してみたので、その内容をご紹介します。

はじめに

マイGPTは、OpenAIが提供するカスタムAIエージェント作成機能です。
ChatGPTに独自のプロンプトや知識、応答スタイルなどを設定してカスタマイズすることで、自分好みのAIエージェントを作成できます。

以前、キャラクターになりきって話すエージェント(AIリサーチボーイ)を作成したことがあります。

その時の記事はこちら↓

tech.videor.co.jp

今回はその経験を踏まえ、実務での活用を意識した2つのエージェントを作成しました。

  • 「契約書比較エージェント」
  • GCP先生エージェント」

この記事では、これらがどのようなエージェントなのか、どのように設計したか、使ってみての気づきなどをご紹介します。
マイGPTを「使ってみよう」と思ってもらえるきっかけになればうれしいです。

マイGPTで設定できる項目

マイGPTの作成画面では、主に以下のような設定項目が用意されています:

  • 名前とプロフィール画像
    作成するGPTに任意の名前と画像を設定できます。

  • 説明文と指示(Customize instructions)
    「このGPTは何のために存在するのか」「どんなふうに応答してほしいか」を自然言語で指示できます。出力のトーン指定も可能です。

  • ナレッジのアップロード(Knowledge)
    PDFやWordなどのファイルをアップロードして、GPTに独自の情報を教え込むことができます。これらはGPTの回答に利用されます。

  • 使用するツールの設定(Tools)
    以下のツールの使用可否を個別に設定できます:

    • ウェブ検索:インターネット検索で最新情報を取得可能にする。
    • Canvas:テキストやコードのドキュメントをGPTと一緒に編集できる機能。
    • 4o 画像生成:画像生成が可能になる。
    • コードインタープリターとデータ分析:データの分析、アップロードしたファイルの処理、演算処理などを行えるようになる。

このように、UIで設定できる項目が揃っており、誰でもノーコードで目的に特化したGPTを作成することができます。

作成したエージェントの概要

契約書比較エージェント

契約書の修正前と修正後を比較して、どの条文がどのように変わったか(追加・削除・変更)を整理してくれるエージェントです。
他部署の方から「契約書の比較時にテンプレートを開く手間を省きたい」という相談をいただいたのをきっかけに作成しました。

GCP先生エージェント

Google CloudのPCA試験に向けた学習をサポートするAI家庭教師のようなエージェントです。
私自身現在Google Cloud Professional Cloud Architect(PCA)試験の勉強をしており、PCA試験レベルに合わせてGoogle Cloudについて教えてくれる家庭教師のような存在が欲しいなという思いから作成しました。

プロンプト設計時の工夫ポイント

契約書比較エージェント

  • テンプレートとアップロードファイルの比較に限定:GPTが不要な情報を参照しないよう、比較対象を制限。
  • 差分の分類ルールを明記:「追加/削除/変更」の3分類で出力されるように指示。
  • 微細な変更も検出対象に:助詞など、意味に影響する細かな差異も拾えるように設定。
  • チャット上での表形式出力:Wordファイルを開かなくても、すぐ内容を確認できるよう表形式で出力。
  • 複数契約書の一括比較に対応:複数ファイルのアップロードにも対応できるようプロンプトを構成。

GCP先生エージェント

  • 初心者に寄り添ったトーン:「やさしい家庭教師」として親しみやすく丁寧に回答。
  • 回答構成の統一:質問の要約、やさしく解説、ポイントのまとめ、よくある間違いや補足 の4つの構成で出力する。
  • 試験範囲の明確化:PCA試験の出題範囲をWord形式でナレッジ化し、出題範囲に沿った回答をするように指示。
  • 出題範囲外の質問への対応:PCA試験の出題範囲外の内容は「今は覚えなくて大丈夫」と伝える方針を明記。
  • 重要語のラベリング:重要単語を【覚えるべき用語です】と明示することで、学習優先度を明確化。
  • 禁止事項の明記:誤解を避けるため、専門用語を多用しない、試験範囲外の内容は出さない なども明記。

実際に使ってみて感じたこと

契約書比較エージェント

実際に使ってみて、次のような点は特に便利だと感じました:

  • 微細な文言の違いまで検出できること
    たとえば、助詞の「に」が削除されているだけでも「変更」として検出されており、意図どおりの動作が確認できました。

  • チャット画面上での表形式出力
    差分がチャット画面に表で表示されるので、ファイルを開かずにそのまま確認でき、また、条文番号、変更内容、種類(追加/削除/変更)が明確に分類されており、見やすかったです。

  • 複数の契約書を一括で比較できること
    2つの異なる契約書を同時にアップロードし、それぞれの差分を別々の表で出力する動作も問題なく確認できました。
    「一括比較できるようにしておく」という設計意図が、ちゃんと実現できていると感じます。

また、プロンプト内で参照情報を「テンプレートとアップロードされたファイルのみに限定」していたため、不要な情報を持ち出さず、純粋に差分だけを見せてくれるのも安心できるポイントでした。

GCP先生エージェント

今回は、模擬問題の解説をしてもらうという使い方をしてみました。
実際に使ってみて、次のような点は特に便利だと感じました:

  • 整理された回答が得られること
    質問に対して、「質問の要約 → やさしく解説 → ポイントのまとめ → よくある補足」といった構成で答えてくれるため、問題文の読み解き・背景の理解・正答の根拠が整理された形で学べました。

  • 初心者にもわかりやすく解説してくれること
    上記の構成で整理したうえで、問題を解くときの考え方や注目すべきポイントを一つ一つ丁寧に解説してくれました。
    そして、不正解の選択肢はどこが間違っているのかまでわかりやすく説明してくれました。

  • 試験との関連付けを示してくれること
    「この問題はセクション1.2や1.3に該当します」といった形で、公式ドキュメントとの対応関係も教えてくれるため、学習の進捗管理や復習の目安が立てやすくなります。

一方で、実際に使ってみる中で課題も見えてきました:

  • ラベル付けの精度
    例えば、プライバシーに関する問題の解説をお願いしたとき、「BAA(ビジネスアソシエイト契約)」のようにGoogle Cloudに直接関連しない用語にも【覚えるべき用語です】というラベルが付いてしまうケースがありました。
    私の中で【覚えるべき用語】ラベルは、Google Cloud関連の用語に付けてもらうイメージだったので、想定と異なる出力になってしまいました。

    そこで、以下のルールをプロンプトに追記しました:

- 「【覚えるべき用語です】」というラベルは、Google Cloud のサービス名や、試験範囲において明確に技術用語として登場するものに限定してください。
- 一般的な法律用語や他分野の概念(例:BAA、HIPAAなど)は、試験に関係していてもラベル付けしないでください。

このように、実際の対話を通じて見えてきた改善点をすぐに反映できるのも、マイGPTの利点だと感じました。

おわりに

いかがでしたでしょうか?
マイGPTを使えば、アイデア次第で様々なAIエージェントを作ることができます。
そして、マイGPTは、ノーコードで作成でき、使いながら改善していける仕組みになっているため、AIやプログラミング初心者でも、気軽に作ることができます。
皆さんも「こういうAIがあったらいいな」と思ったら、ぜひ気軽に利用してみてください。

お読みいただきありがとうございました!